若桜街道ビブリオバトル・読書会

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私の本棚 No.2 「蜜蜂と遠雷」

このコーナーは読んでみて良かった本を紹介するコーナーです。ちなみに1回目は有川浩さんの「阪急電車」でした。


2017年第156回直木賞受賞!

2017年本屋大賞受賞!

第5回ブクログ大賞小説部門大賞受賞!


と2017年軒並み受賞しています。すごすぎます(≧∇≦)

蜜蜂と遠雷

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷


3年に一度開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。今回で6回目。しかも最近、新人ピアニストの登竜門として評価が高まっている。書類審査と書類選考落選者オーデションで合格した者だけが一次予選へ。


物語は、世界5ヶ所で行われているオーデション会場の一つ、パリから始まる。養蜂家の父を持ち、家にピアノがない16歳の風間塵が、伝説の音楽家ホフマンの推薦状を持ち、レベルの違う演奏をしたことで激震が走った。


一次予選は5日かけて90人が24人に絞られる。二次予選では、24人から12人に。三次予選では、12人から6人に。本選には6人しか進めない狭き門。


一次予選には、風間塵のほかにも魅力的な参加者がエントリー。


神童と言われた天才少女だったが、13歳の時にお母さんが亡くなり、ピアノを弾く意味が見出せず突如ピアノ界から消えた20歳の栄伝亜夜。


コンクール応募規定ギリギリの年齢で、プロを諦めきれず楽器店に勤め、結婚し子供もいてお父さんである28歳の高島明石。


優勝候補の日系三世ペルー人とフランス人のハーフのイケメンであり、名門ジュリアード音楽院の王子様、19歳のマサル・C・レブィ・アナトール。


他にもコンクールでは不利と言われる演奏順番1番を引いてしまったアレクセイ・ザガーノフ。マサルと同じジュリアード音楽院のジェニワ・チェン。


まずは一次予選を通過できるのか?そして本選には誰が出場できるのか?優勝は誰に?というお話。


クラッシックのピアノコンクールってお堅くて苦手そうって思われる方でも十分楽しめます!ピアノコンクールではなく、何かスポーツの大会を見ているよう。しかも、まるでドキュメンタリー映画のようです。

スポーツにはルールがあるように、コンクールにもルールがあります。予選によって制限時間が異なり、予選それぞれに課題曲があります。一次予選は20分で3曲、二次予選は40分で4曲、三次予選は60分を自由にリサイタル形式。本選はピアノ協奏曲から1曲をオーケストラと協演。もちろん同じ曲はダメ。だから、予選から本選まで10曲以上をベストな状態にする必要があるのです。また予選だけで二週間かかるため、モチベーションの保ち方が大事だったり。女子は予選ごとにドレスを変えるからその準備もあったり。コンクールのための準備も大変です。


ちなみにピアニストだけでなく、脇を固める方々も個性的。亜夜が姉と慕う奏。コンクールを支える審査員の三枝子やナサニエル。ステージマネージャーの田久保、調律師の浅野とか。テレビ番組取材の雅美など。


かなり分厚い一冊ですが、実際にコンサートホールにいるような臨場感があり、面白くて一気に読めました!しかも次の日にもう一回読んじゃいました!!私は亜夜が塵やマサルと会うことで、成長していく過程が一番感動しました。コンクール前と後では、亜夜はまるで別人のよう。主な登場人物の背景を詳しく書かれているので感情移入しまくりで、何回も泣きました。予選や本選でのピアニストが弾いている曲の解説が面白くて、聞いてみたくなります。むしろ聴きながら読みたい!もしまだ読まれてなかったら、ぜひおススメします。