若桜街道ビブリオバトル・読書会

鳥取市で開催している若桜街道ビブリオバトルと読書会のHP

7月8日 LINEでビブリオバトルのレポ♪

7月8日(水)は、LINEでビブリオバトルでした。
テーマは「夜」。今回は、7冊紹介されたので、いろんな分野の本がら集まりました^ ^

チャンプ本は
「停電の夜に」ジュンパ・ラヒリ
でした!おめでとうございます\(^o^)/

では、チャンプ本から紹介していきます。
「停電の夜に」ジュンパ・ラヒリ著、小川高義
9編の小説からなる短編集。内容は、家族や移民やすれ違いをテーマにしています。全編に共通するのは、登場人物が何らかの形でインド(旧英国領インド、バングラデシュも含む。移民も含む)に関係しているという点。というのも、作者ジュンパ・ラヒリは、生まれはロンドン、育ちはアメリカですが、両親がカルカッタ出身のアメリカ系インド人2世なのです。観察と描写が細やかで、小さなものを集めた重みのある宝物みたいな文体が魅力的でした。


その他の本も紹介します。
「つくも神さん、お茶ください」畠中恵
40歳の時に2001年に「しゃばけ」で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビューした著者によるコラムやエッセイを集めた本。「しゃばけ」は江戸を舞台にした妖怪人情推理小説で、シリーズ化されています。書いてある内容は多岐にわたっています。もちろん「しゃばけ」に関することも。最初の章のこの作家さんが本を読むことについてを比喩を使って書いているのが面白いです。


「ジュリエットのいない夜」鴻上尚史
世界一有名な恋愛の古典「ロミオとジュリエット(以下ロミジュリ)」を基に、演劇を作り上げる過程やビジネス、それらの人間模様を映し出す物語として現代に蘇るビターな小説です。主人公は演出家で、劇団を舞台にした「ロミオとロザライン」とプロデュース公演の「ロミオとオセロー」の2篇。演劇部だった身としては、理に叶う素敵なアイディアを嫉妬故に認められないシーンとか、その矛盾した感情、やるせない、持って行き場のない感情に共感してしまいました。


銀河鉄道の夜宮沢賢治 
母は病気、父は仕事で別居している少年ジョバンニは、学校でいじめられがち。友人のカムパネルラとも距離を感じる。銀河のお祭りの夜、2人は気付くと銀河鉄道に乗って、天の川から星座をめぐる旅に出ていた。2人はどこまでも一緒に行こうと約束するのですが……最初のジョバンニの辛い生活から幻想的な銀河鉄道の場面への劇的な転換。その表現の中には化学的な箇所もあるし、宗教的なものも。美しいけど、常に儚い雰囲気が漂っていて、ラストは希望と喪失のセットです。世の無常を感じるけど、悲しいだけではないと思いました。


「かようびのよる」デヴィッド・ウィーズナー
ある夜、満月が照らす沼、蓮の葉の上で休むカエルたちに不思議な出来事が起こります。蓮の葉が次第に浮き上がり、カエルたちが一斉に空へ…。アメリカの作家ウィーズナーの、いたずら心たっぷりに描かれた絵本です。この絵本、文字はほとんどなく、巧妙な絵の力だけで語ってくれます。人間たちの住む町へ飛んで行って、やりたい放題のカエルたち。シュールな世界観と、カエルたちの人を食ったような表情がたまりません。見返す度に新たな発見があり、クスリと笑わせる仕掛けも随所に仕込ませてあります。


「夜を賭けて」梁 石日 ヤンソギル 
舞台は太平洋戦争後の大阪城周辺、戦争時は広大な軍事工場がありましたが、空襲で焼け野原になりました。戦後は誰も近づかない場所でしたが、軍事工場跡の鉄屑が金になると知った集団「アパッチ族」が集落を作り、鉄を盗む側と守る警察の争いが繰り広げられます。夜に盗みを生業にするしか生きるすべを持たない人たちのエネルギーが作品にちりばめられ、それを押し流すかのように時代は刻々と変わり翻弄されるさまがかかれています。


「夜の谷を行く」桐野夏生 
西田啓子は63歳。アパートで独り年金暮らしで、ジムと図書館通いを楽しみに静かに暮らしていました。ある日、連合赤軍永田洋子のニュースが入ってきます。啓子は永田洋子と一緒に連合赤軍の活動をしていました。姪には結婚式を欠席する理由として、過去を話す事になります。そんな時、昔の仲間達や、連合赤軍を取材するジャーナリストからの突然の連絡により、忘れていた過去が思い出されてきます。静かに暮らしていくはずだったのに…その、驚きの過去とは?


読書の参考になったら、幸いです。