若桜街道ビブリオバトル・読書会

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8月5日 LINEでビブリオバトルのレポ

8月5日は、LINEでビブリオバトルでした!
テーマは「家族」。今回は珍しく同じ著者から2冊でました。瀬尾まいこさんから始まり、瀬尾まいこさんで終わりました。

そしてチャンプは
「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ
雑居時代氷室冴子 
おめでとうございます☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

まずチャンプ本から紹介します。
「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ
2019年4月「本屋大賞」受賞。先日、文庫本発売。読む前はタイトルから「恐らく主人公の優子が家庭の事情で何か(=バトン)を受け取り、辛さの中に希望を見出す感動的な話」と思っていました。しかし実際は「優子がそれぞれの家族にとても愛され暮らしていく話」でした。「赤の他人同士が家族として気遣い、何とか寄り添い生活していこうとする姿勢」に好感を持ちました。ラストシーン、好かったです。

雑居時代氷室冴子 
啓明高校はじまって以来の才媛と噂に高い、「倉橋さんちの数子さん」が主人公です。彼女は叔父に恋をしていたのですが、彼が結婚します。ショックで出張する知り合いの留守番役をかって出るのですが、なぜか同じクラスの女子と浪人中の男子が転がり込んで3人の雑居生活が始まります。全11話、叔父の結婚相手を蹴落とすべくドタバタが繰り広げられます。家族というくびきから放たれた思春期の3人が、自分の個性を思うがままに発揮する、コワ面白い作品。

「てのひらの京」綿谷りさ 
おっとりした綾香31 歳図書館司書、活発な羽依(うい)22歳会社員、生真面目な凛21歳大学院生
京都に住む三姉妹の生活が描かれています。祇園祭大文字焼き、山鉾などなど京都を象徴するワードが、住人ならではの視点で物語に散りばめられています。家族との関係も細やかに表現されています。また水飴のような鴨川の流れなど、町の表現が美しく、臨場感があります。今年は山鉾も中止だったようですが、本の中で味わうことができました。

「虚ろな十字架 」東野圭吾
中原道正は妻と小学二年生の娘と3人家族。最近、中古住宅も購入して幸せな毎日。そんなある日、娘が強盗殺人事件に巻き込まれます。犯人には死刑が確定します。しかし、道正も小夜子もなぜか納得が行きません。その後、二人は離婚し、妻は雑誌編集のライターの仕事をします。その特集記事の取材途中で通り魔殺人に襲われます。道正は小夜子の取材内容を通して、事件の糸口を追うようになります。犯行はなぜ起きたのか?犯人に対してどんな事を望むのか?

「母と娘はなぜこじれるのか」斎藤環編著
編著者である1961年生まれの精神科医が漫画家や作家、臨床心理士といった方々との2008年に行われた対談をまとめたもの。序章で編著者はまず、母娘の親子関係は母息子、父娘、父息子の親子関係より一段深く複雑であることを説く。母による娘の支配には、いくつか形態があり、代表的なのは「抑圧」「献身」「同一化」だという。気になる角度や切り口がそれぞれ異なるところが面白い。編著者が男性なので、女性に話を聞くことによって、問題が浮き彫りになることがある。

「僕の明日を照らして」瀬尾まいこ
生まれてすぐに父を亡くして以来ずっと、夜は仕事でいない母と二人暮らしだった隼太。中学2年生になって、新しいお父さん(優ちゃん)ができる。優ちゃんは時々隼太を殴る。それでも隼太は優ちゃんに出て行ってほしくない。孤独になるよりは虐待される方がマシ。やがて二人は、一緒に虐待に関する本を読むようになり…。重いテーマを扱いながらも筆致は軽く、メインとして描かれているのは隼太の成長です。心に何かしら抱えて生きる人物たちを、あたたかな視線で描く小説です。

読書の際の参考になれば幸いです。